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Solo Prowler Geist
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未だ、迷走中。

by DunkelFanG_Ez00
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例にもよって暫定版ですが、
ようやくアップできるぐらいには仕上がったかと。

どうも皆様こんばんは。
毎度お馴染み『Solo Prowler Geist 』でございます。

例によって、もう少し推敲する必要アリなので、後日修正予定。




『戦後処理部隊EBN 11』

スカーレットと刺客が膝付き合せて話をし始めたその頃、件の山賊が潜むアジトでは、
異変が起こり始めていた。

首領の幕舎に二人の兵士が飛び込んできて、事態を告げる。

「頭、妙ですぜ」
「何事だ」
「それが、何者かが陣の断崖に砲を撃ち続けているんです」
「砲を?」

首領が耳を済ませると、確かに大砲の轟音が遠くで響いているようであった。

山賊が張っている陣は小高い丘の上に立ち、背後には川に沿って断崖が続くという、
およそ攻めるには困難な地形であった。断崖を形成する岩質は非常に強固で、大砲の
集中砲火如きではまず砕けようも無い筈であった。

それにも関わらず立て続けに砲を撃つのは何故か?

「ふっふ、ワシらは相当に舐められてるようだ。のう?」
「はぁ……」
「見え透いた揺さぶりだ。が、備えるに越したことは無い。全員に武装を指示せい」
「へいっ!」
「陣の胸壁に弓隊、銃器隊を配置。前方から来るであろう敵に備えておけ」
「はっ! すぐ配置に付かせます!」
「念の為に斥候を出せ。陣の周囲に徹底して探りを入れ、敵の陣容を細部まで
 調べ上げい」
「分かりやした!」

兵士達は陣中に首領の指示を伝えるべく飛び出していった。独り残された首領が
布張りの天井を仰いで呟く。

「とうとう本格的にワシを潰しに来よったか。だが、そう易々とはいかんぞ」



体中の激痛はだいぶ消えかけていたが、まともに動けるまでには身体に力が
戻っていない。

例の女は、腰を下ろしてすっかり無防備な状態で話を始めようとしている。

「さて、何から話そうかな」

絶好の機の筈なのに、身体がまともで無い為にあの女を出し抜けないのが
口惜しかった。私の今の状態で動いたところで、易々と捕らえられ、首を
はねられるのがオチだろう。今は黙って機を伺うより他に無かった。

奴の顔に浮かぶ薄ら笑いが、まるでそんな私の心中を見透かしてるように
見えてならない。

(―――畜生……)

「まず、アタシが連中の拠点に潜入したのは貴女より二ヶ月前……」
「…………」
「と言っても、貴女とは出所も目的も違うけどね」

だが、潜入の目的が連中の首領にあることは明確であろう。

そうでなければ、首領の無二の親友をわざわざ選んで化ける必要はあるまい。
だが、目ざとい首領のことだ、ただ化けただけでは早々に不審を抱かれ、化けの
皮を剥がされるだろう。まして無二の親友ならば、尚更その危険性は高くなる筈だ。

それにも関わらず、数ヶ月以上も不審を抱かれずに化けおおせていたということは、
何らかの手段でベインズの記憶やクセを体得したのだろう。

そこが気になった私は、思わず口に出して訊いていた。

「寸分違わずベインズに化けたのは兎も角、奴の記憶やクセはどうやって……」
「徹底的な監視と根気強い情報収集、というところかしらね。彼の普段の素行や、
 彼が他の連中にどう思われてるかを調べたら、これ以上相応しい化けの皮は
 無いだろう、とね」

成る程確かに、粗野粗暴・猛進猪突故に仲間から疎まれ、首領からも遠ざけられてる
ベインズだ。好き好んで彼に近づく者など皆無と言っていい。実際、私も仲間が彼に
声をかけようとするのを見たことが無い。

そんな彼に、首領以外の誰が彼の身元について突っ込んだ話を聞こうとするだろうか。

まして、首領ですら最近では彼を身辺から遠ざけている。益々もって、突っ込んだ
話を訊こうとはするまい。

にも関わらず、彼は首領の無二の親友ときている。奴さんに近づくのに、これ以上
最適な化けの皮は、確かに無いと言っていい。目の付け所は敵ながら見事と言える。

しかし、そうなると益々分からなくなってくる。彼女の標的が首領なのは確かだ。
目的が暗殺にせよ拉致にせよ、彼女の腕をもってすれば密かに行なうことなど
造作もない筈であろう。

それでもなお、そんな回りくどい手を使ったのは……。

(―――奴を籠の中で生かしておく必要がある、ということか……?)

「何故、そんな回りくどい手を使う?」
「どういうこと?」
「認めるのは癪だけど、アンタはこの島でも屈指の諜報員だ。幾らあの首領が底知れぬ
 老人とは言っても、密かに暗殺するぐらい大したことでも無い筈だ」
「まぁねェ」

いけしゃあしゃあと認める辺り、別な意味で恐怖を感じる。

だが、決して虚栄ではなかろう。
この女ならば、やる。

「だったら、何故やらない?」
「首領を殺すのはアタシの役目じゃ無いからよ。アタシの役目はあくまでベインズに
 成りすまして、あの爺さんの手足を磨り潰すことだけ。けど、唯一計算外だったのは
 貴女が来たことだったのよねェ」
「何……?」
「最初、貴女が来たのはアタシを狙ってのことだと思ってたのよ。アタシの技量を
 もってしても、あの爺さんを騙し抜けず、アタシへの刺客として外部の人間を
 差し向けてきたのか、とね」
「…………」
「けど、よくよく動向を探ってみたら、貴女の目的はアタシでも爺さんでもなく、
 山賊連中の殲滅が目的なのが分かったから、逆に貴女を使ってコトを有利に
 進められると思ったのよ」
「私を利用する、だと?」
「まさか貴女、あの爺さんを騙し抜けてたなんて思って無いでしょう?」
「…………」

口惜しいが、首領に露顕されかけていたのは否定できない事実だ。

そうなると、やはり奴さんが私をベインズの暗殺に就かせたのは、私がビスク軍の
諜報員だと見抜いた上でのことだったのは、ほぼ間違い無いと見ていい。

もっとも、これまであの女が言ったことが全て事実とは限らない。私から情報を
引き出す為のブラフとも考えられなくは無いのだが……。

「爺さんの目が貴女に向いてくれたことで、自然アタシへの懐疑は薄まった訳だしね。
 お陰でだいぶ仕事がやり易くなったわ」
「……貴様」
「オマケに、貴女はアジトのあちこちに罠を張ってくれたしね。なかなか良い
 場所を狙って仕掛けてあった上に上手い具合に連動するようになってる、
 なかなかのモノだったわよ。けど、アタシに気取られるようじゃまだ未熟ねェ」
「うぅっ……」
「まぁ、その仕掛けはアタシが頂いたけどね。真に首領を倒すべき人たちへの
 いい手土産にさせて貰ったわ」
「真に倒すべき人たち……?」
「アタシの飼い主、ビスク国軍第三騎馬隊。今頃は連中のアジトを襲ってる最中ねェ」
「なにッ……!?」
「そして、首領も今頃は……クスクスクス」
「くっ、貴様……!」

歯噛みしながら女を見ると、彼女はもう時間だと言わんばかりに右手に付け爪を
填め始めていた。

「最後に一つ教えろ。私を殺そうとするのは貴様の飼い主の意思か……?」
「さァて、どうかしらねェ。クスクスクス」

そう言って女は立ち上がり、未だ立てずにいる私の首筋に例の付け爪―――
サキュバス・クローと言ったか―――をひた、と当て、

「ちょっと勿体無いけど、そういう訳だから消えて貰うわね」
「…………」

己の持つ機密を知った相手を、生かしておくことは許されない。

諜報員にとっては最低限のルールである。そして、この女は私を確実に殺す
自信があるが故に自分の手の内を話したのだ。

「最期に、冥土の土産ってやつのプレゼント。アタシの名前、ジェスターって言うの」
「そうかよ……ッ!」
「!」

(―――かかった!)

残された力を振り絞って、例の爪から距離を取るべく左に倒れながら、私はある一点に
意識を集中していた。

女―――ジェスターと名乗った―――の真下に浮かぶ影。

それに向けて私は左手に仕込んだダガーを突き立てたのだった。言わば、零距離
シャドウスティッチ。密接状態ならば、彼女がアクションを起こす瞬間のタイムラグの
隙を突けると考えた上での賭けだった。

(―――奴の動きさえ、一瞬でも封じてしまえば……!)



「クスクス、油断しちゃったわねェ……。けどそう簡単に逃がす訳にはいかないのよ」

ジェスターが影縛りから解放された時には、既にスカーレットは彼女から逃げ去り、
外へ脱出てしまっていた。だが、ジェスターの表情には獲物を逃がした口惜しさは
感じられない。

むしろ、口元に笑みすら浮かべていた。

「まぁ、これぐらいやってくれなきゃ……。狩りの面白味が無いってものよ」

そう言うと、彼女は銃を拾い上げて腰に下げると、外に出るべく歩き始めた。
もう片方の手に、抜き身の刀を持って。



力は戻りつつあったものの、依然本調子には程遠い。だけど、外に出さえすれば
幾らでも逃げようはある。私は出来る限り物陰に隠れつつ、ネイチャーミミックで
姿を消しながら少しずつ山賊のアジトに向かって進んでいった。

しかし、アジトへ行ってどうする?

ジェスターと名乗った女の言う通りならば、今頃連中のアジトはビスク国軍
第三騎馬隊の攻撃を受けている筈だった。私の元々の目的が山賊連中の殲滅に
ある以上、それ自体はむしろ願っても無い話であった。

(―――だが、既に同軍の諜報員が潜入してるのを承知の上で、私を潜入させたの
 だとしたら?)


あそこにはジェスター側が握っている情報以上のモノがあるということではないのか?

ならば、マズいことになる。勇猛果敢で名を馳せる第三騎馬隊のこと、山賊殲滅と
なれば、完膚なきまでに跡形も無く叩き潰すに違いない。

(―――急いで戻らなければ)

急いで戻ったところで間に合う保証は無い。だが、あの首領が指揮を執る上に、
アジト自体は攻めるに難しい地形にある。正規軍相手とは言え、そう易々とは
落ちないだろう。

(―――妙な話だが、山賊連中が持ちこたえてくれるのを祈るしかない……)

本調子ではない状態での走力などたかが知れたものであったが、今は四の五の
言ってる状況ではない。

(―――最悪、乱戦に紛れて首領を捕らえてでも!)

走力を上げるべく早足を発動させ、次いで身隠しを発動させようとした、その時だった。

「ウヴェェエエアァァアァアアアァァァァッ!」
「―――!」

突如として響いた絶叫、それに少し遅れて飛んでくる刃物。私は咄嗟に後ろに飛んで
避けたものの、姿勢が崩れて膝を付いてしまう。

遅れて響いた金属音から判断するに、投げられたのは相当の大業物だろうことは
容易に予測出来る。

「ゲリラかっ、こんな時に……!」

刃物が飛んできた方向に目をやると、人影が三つ、此方に近づいてくるのが見えた。
彼我の距離からするに、刃物を投じたであろうその内の一人は相当の剛力の持ち主で
あろうことが伺える。

(―――この暗闇では……)

明らかに、不利だ。

加えて、敵の攻撃を避けるのが精一杯な状態では、いずれは連中に補えられる。
そうなれば、寸でのところで避けるのが精一杯な速度で大業物をぶん投げる剛力の
持ち主のこと、腕の一本どころか挽肉程度でも、果たして済むかどうか。

ならば闇に紛れて逃げの一手しかない、と方向転換しようとしたその時だった。

「ハァ~イ♪」

突如として眼前の闇が顔を成し、更にニュッと現れた筒状のモノが私の腹に当たる。

「チッ!」

咄嗟に肩当を剥ぎ取り、身体と銃口の間に差し挟んだその瞬間、轟ッ、と砲音が鳴った。

彼我の距離が零であった為に、弾速が不十分な銃弾は辛うじて盾代わりに挟んだ肩当を
貫かずに済んだ。しかし、砲の衝撃で私は吹き飛ばされ、背中から岩壁に叩きつけられて
しまう。

「ぐッ、ぶぉぅッ……!」

口中にジワリと鉄の味が広がり、口端から顎を伝って温いモノが流れ落ちる。

加えて、脳裏には寸前に発射炎で照らし出された顔が鮮烈に浮かび上がっていた。
一度見たら決して忘れ得ぬ、今最も目にしたくない、顔。

「クスクスクス。悪いんだけど、黙って行かせる訳にはいかないのよねェ」

闇に響く声が、ソレを決定付けた。即ち、最悪の状況というものを。

全身に走る激痛と多量の失血で気を失いそうになったが、何とか踏み止まり、
白一色の風景から解放された両眼に僅かに残された力を振り絞って意識を集中させる。

目を凝らして夜目を利かせた先に捉えたのは、両眼を紅く燃やし、歯を剥き出して
笑みを浮かべる三人の男達と、最悪の女、ジェスターが此方に迫ってくる様であった。


相手は、四人。

気組と共に振り下ろされる大鉈。それを避けて距離を取る瞬間を狙うかのように襲い来る
三叉槍の鋭い突き。

咄嗟に屈み込んで槍を避けようとするも、切っ先が右目の瞼を捉え、そこから額までを
一直線に切り裂く。幸い眼球を傷付けるまでには至らなかったが、傷口から流れ出る血が、
視界を完全に塞いでしまっては、右目は死んだも同然だった。

(―――くそっ、どうにか血路を開きたいが)

私の思惑を打ち消すかのように、踏み込んできたもう一人の鉄爪が私の頬をえぐり取る。
恐らく、相手からは顎の骨が見えているに違いない。

鉄爪の男が飛び退く瞬間を狙って彼の懐に踏み込み、その胸に脇差を突き立てようとした
その瞬間、風を切る音と共に銃弾が鼻の肉を削いた。咄嗟に弾道から発射点を見切って
スローイングナイフを投じるも、それは空しく空を切るのみ。

瞬間、攻撃が止まる。

此方が引かんとすれば押し、逆に押さんとすれば引く態勢。各々の得物の利点を踏まえつつ
時間差をもって伝播する波状攻撃。それでいて常に一歩踏み込めば届く得物の射程内に
相手を留め置く包囲網。それに加えて、攻勢に転ずるべく動けば文字通り神出鬼没、かつ
的確に踏み込む瞬間を狙い来る銃弾。

完全なる包囲。

これでは身隠しはおろか早足すらも使えない。発動前の一瞬を狙い撃ちされれば、
それで最期だ。


既に相手の波状攻撃を凌ぐこと二度。第一波こそ辛うじて無傷で捌き、敵にも手傷を
負わせたものの、第二波では攻撃を避けきれずに顔中に手傷を負い、片方の視界を
塞がれる始末だった。次に相手が攻勢に出た時は、果たして捌き切れるか。

(―――まず、無理だろうな)

今立っていられるのが不思議なぐらいに血を失った。先刻岩壁に叩きつけられたので
骨にもヒビ程度は入っているに違いない。手持ちの得物も敵の攻撃を凌ぎ続けた為に
ボロボロだ。次に受ければまず叩き折られるだろう。

(―――これで、最期か)

狗の死に場所としては申し分無い場所だ。

誰にも知られず、看取られず。ただ地に屍を晒すのみ。しかも、ただ無為に
死ぬのでは無く、戦場で持てる力を全て出し切った上で死ねるのだ。

これ以上狗として望むべき死に様があろう筈も無い。

(―――出来ることは、やり尽くしたさ。そうだろう?)

敵に取り囲まれ、脱する術も抗う術も最早無い。万に一つも助けが来るなど
起こり得ない話だ。

奇跡は起こり得ぬ故に奇跡であり、まして、人で無き狗に奇跡など有りうる
筈も無い。狗は狗らしく、唯独り動き、唯独り果てる。それが、森羅万象の理と
言うものではないか。

(―――人であることなんて、ここに流れ着いた時から……)

否、この島に流れ着く前から、私は既に人では無かった。

殺し殺され、奪い奪われ、その日のネグラと食い物を求めて独り彷徨い得物に
喰らい付く日々。それはこの島に流れ着いたところで決して変わることは無かった。
何処へ行こうと、狗は狗でしか無いのだ。

(―――だから、もういい。もういいだろ、なぁ……)

間も無く襲い来る死の瞬間を、自身の心は受け要れようとしているのに―――

(―――畜生ッ! 何でだ! 何で足が止まらないんだッ!)

主の意思に反し、その両足は決して崩れ落ちることなく地を踏み締め続ける。

残された左眼は相手を捉えて離すこと無く相手の動きを脳に伝えている。

小太刀を構える左手は血に塗れた肌を剥き出しにしてもなお垂れ下がること無く、
眼前の敵が繰り出す攻撃を受け流すべく構え続ける。

脇差を順手に握り締める右手は、虎口に飛び込まんとする敵を屠らんと切っ先を
向けたままだ。


「貴様は最早人間ではない。軍の狗であり所有物だ! 軍の許可無くして
 死すことは許されん!」

(―――そうか、そういうことか……)

「お前は軍のモノである以前に俺のモノだ。俺の許し無しに死ぬことは許さん。
 壊れて動かなくなるまで、俺の為に働き続けろ……!」

(―――お笑い種だ、今わの際に思い出すのが一番思い出したくない言葉なんてな)

自然と口元が歪むのが分かった。

所詮個人の意思など、深層意識にまで深く刻まれた狗としての生き方と、毎日々々動かなく
なるまでその身に叩き込まれた狗としての本能には抗えぬのだ、と。

そう理解した瞬間、諦めにも似た感情が沸き起こり、その感情を自覚した己自身に笑わざるを
得なかった。笑いでもしなければ、正気など保っていられはしない。

否、既に正気も狂気も、此処に有りはしないのだ。

此処は、戦場だ。


カツ、と足に何かが当たる音がした。見れば、先刻叩きつけられた岩壁が目の前にある。

(―――成る程……)

岩壁を背にすれば少なくとも背後からの奇襲は無い、というわけだ。ただ、ジェスターという
不安要素は残っている。加えて、私自身もうこれ以上は持ちこたえられそうもない。

しかし……、

(―――やるしかない、か)

依然三方に散り、岩壁を背にした私への包囲網を徐々に狭め始めた彼らに得物を構えると、
私は敵の動が動く瞬間を見極めるべく、意識を集中し始めた。


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by DunkelFanG_Ez00 | 2008-07-19 23:58 | MoE書き殴りSS・EBN編