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Solo Prowler Geist
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未だ、迷走中。

by DunkelFanG_Ez00
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ただただ掘るのみ
どうも皆様こんばんは。
毎度お馴染み『Solo Prowler Geist 』でございます。

採取キャラ改造計画で、ようやく採掘が60突破。





『冬の怪談』

イプス渓谷―――風雪舞う閑散とした荒野の中心にそびえ立つ
イルミナ城。その外周を囲む湖で寒中水泳訓練が進行していた。

「うぅうううう、ささささすがに寒いッスよ分隊長」
「怯むな! 第三分隊は既に十周してんだぞ! 遅れを取るなッ!」
「しっしかし、この寒さでは」
「んなもん気の持ちようだッ! この湖一帯を温泉だと思え!」
「そんな、無茶ッスよぉ、ぅうぶるぶるぶるぶる……」

互いにふんどし姿だが、片や唇が紫色に染まるほどに凍えている
一兵卒と、対するや寒さなど微塵も感じぬとばかりに仁王立ちの
分隊長。分隊員は他にもいるが、中でも際立って対照的なのは、
この二名だった。

「よかろう、では再度水に浸かる前に一つ話をしてやろう」
「話ッスか? 寒中水泳の心得なら訓練前にも散々……」
「違う! 身の毛もよだつような寒くなる話だ!」
「な、なんだってまた!?」
「水に馴染む為に身体を限界まで冷やせと言う俺の粋な計らいだ!」
「いや分隊長、もうキンキンに冷え切ってるんスけど……」


「それは、世にも奇妙な門の話さ……」

そう切り出して、語り始めた分隊長であったが、他の分隊員は
口には出さぬものの、「こんなトコで油売ってていいのか」と
心中で思っていたのは言うまでも無い。

「或る時、剃髪した坊さんがその門をくぐったワケだ。すると一瞬、
 まあ数秒程度か。視界がいきなり真っ暗になった」
「…………」
「暗闇の中で、金縛りに遭ったように動けんでいる坊さんの不安は
 尽き無かったが、やっと解放されてホッとしたのも束の間、彼の
 目の前をハラリ、と落ちるものがあった」
「…………」
「拾い上げてみると、それは一本の髪の毛だった。周囲には人影も
 無い。しかも、自分が剃髪する前の毛色と酷似している。恐る恐る
 頭に手を触れてみると、モサッとした感触がッ!」
「…………」
「坊さんの髪が一瞬にしてドバッと伸びきったのさ。当然坊さんは
 困った。そして、これが俗に言うウラシマ現象ってやつなのかって
 思い至ったのさ」
「…………」
「坊さんに髪が生えてちゃ立つ瀬が無い。彼が思い悩んだ末に行き
 ついた結論は実に単純で、元来た門を逆にくぐれば、時を遡って
 髪も元に戻るんじゃないかと考えたワケだ」
「…………」
「坊さんは意を決して門をくぐり、暗闇と金縛りに耐え切った。暗闇が
 晴れると彼は頭に手を触れようとしたが、ふと目の前を何かが一瞬
 横切った。気配を殺して再度横切った物体を掴み取ってみると、
 一匹のハエが掌の上に転がっていた」
「…………」
「ハエのことは捨て置いて、ソレより頭だと坊さんが自分の頭に触れて
 みると、モサッとした感触はそのままだった。否、それに加えて何か
 グチャッとした感触を掌に感じて恐る恐る頭から手を離して見てみると、
 掌の上で数多のウジがワラワラと身体をくねらせているではないか!」
「…………」
「坊さんはたまらず、近くの水溜りに自分の顔を映してみた。するとだ、
 そこにいたのは頭中にハエとウジがたかりまくった頭と、ミイラの如く
 干からびた己の顔だったのさギャアアアアアアアアアアアッ!」
「…………」


「あれ? どうした!? なに皆して白けてるんだよオイ!」
「だって分隊長、そんなの誰もが一度は経験してるッスよ。
 干からびた顔云々は兎も角……。そうッスよねェ、皆さん」

分隊員一同はコックリと頷き返し、己の無知を自ら暴露した
分隊長はすっかり意気消沈してしまい、訓練にはならなかった。


後日、この分隊は職務放棄により、一ヶ月の便所掃除という懲罰を
受けることになったのであった。
by DunkelFanG_Ez00 | 2007-12-11 23:54 | MoE書き殴りSS・小咄編