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Solo Prowler Geist
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未だ、迷走中。

by DunkelFanG_Ez00
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『ワラゲッチャーV vs ワルゲッチャーV 第一部・完全なる敗北(前編)』
と、いうわけで、『ワラゲッチャーV vs ワルゲッチャーV』の続編を予告通り
上げさせていただきますっ。サブタイトルは一応「逆襲のワラゲッチャーV」と
予定しておりますが……。実際そうなるかどうかはまだ未定の段階です。
(0508追記:三部構成に変更した為サブタイトル変更しております)

でもって、中の人が最近『Gears of War』にハマッたこともあり、内容的に少し
エグイ描写もあったりするので、一応、ゲームと同様15禁ってことにしといた方が
いいんですかね、とビクビクしつつ、ご覧頂こうかと思います。

それでは、どうぞ。


と思ったら、字数制限引っ掛かりましたーッ!

というわけで、第一部・前後編という形で分割いたします……。





【Prologue】

男は、ただそこにいた。空も、大地も、太陽も月すらも無い、闇の中に。

自分が立っているのか倒れているのか、それすらもわからず、ただ、
目の前に広がる闇を見つめている。

どこかで、猫の鳴く声がした。

どこかで、空を切る音がした。

刹那、男の腹は白い刃に貫かれていた。

血も出ず、痛みも無い中で、ただ漠然とした絶望感だけが、男の心を
支配していた。

男の目の前で、炎が揺れた。

白い、あまりにも白い炎の中で、少女が狂気に満ちた笑いを浮かべながら、
白い炎に手を、男に伸ばしてきた。

男は、この時になって理解した。

自分は殺される、のだと。



【Scene01 : 紅衣】

War Age―――ヌーブル村の奥地。

絶対中立地帯であり、戦闘禁止区域でもあるこの村の外れの建物。
その建物の更に地下にある、か細い蝋燭の明かりしかない、薄暗い部屋の中、
廃屋から盗み出して来たのかと思えるような、ボロボロの寝台の上に、男が
腹部に包帯を巻かされた状態で寝かされている。

その傍らには、この薄暗さでもはっきりとわかる紅い布で首から上を覆った、
男とも女ともつかない小柄の人物が、薬草を鉢ですり潰しつつ、時々唸り声を
上げる男の様子を見守っていた。

ドクター・レッドスカーフ。その名は顔半分を覆う紅い布から由来し、本名や
素性を知る者は誰もいない。知られているのは、悪党専門を自称する医者だと
いうことと、彼(彼女?)が悪党と認めさえすれば、無料で何処にでも往診に
赴くという、風変わりな医者であるということだけであった。

紅いスカーフ、というよりはマフラーとも言えそうな長い布で顔半分を隠し、
全身を赤茶けた色のローブで覆い、足は下駄履き、手に嵌めた包帯シップ装備の
手袋と、帯に挟んだ薬鉢が、辛うじて医療の心得を持つことを証明させる。

唯一覗かせる素肌は、赤い布で覆った箇所の上のみで、一瞬白髪と見紛う銀髪と、
死出の化粧を思わせる異常に白い肌を持つ。眉は綺麗に剃られており、異常に
吊り上った大きな双眸には、アメジストを思わせる紫色の瞳が宿っている。
更に特徴的なのは、顔中を切り裂くように走る瞳と同じ色のタトゥーで、それが
死人のような白肌を、より一層引き立たせていた。

「ドク、いるのかい?」

部屋の天板を叩く音がして、紅衣の医師が振り向くと、モラ族の青年が、僅かに
開いた天板から顔を覗かせていた。

「ああ、入ってくれ」

そう言って席を立ち、壁に横たえてあった梯子を天板に向けて立ててやる。

「すまんな、勝手に間借りさせてもらって」
「ドクの頼みなら断れんさ。で、どうだい、彼の様子は」

モラ族の青年は、盆に持ってきた茶を部屋の真中に置かれたモラ族独特の脚の
低いテーブルの上に置きながら、隅のベッドに横たわる患者の様子を訊いた。

「峠は越した。あとは本人の体力次第だが……」
「俺も驚いたがねぇ、いきなり四人のパンデモス男どもが血塗れのコイツを
抱え込んできてお前さんを呼んでくれって怒鳴り込んできたのには」
「自分が診た時は、既に死んでいてもおかしくないほどに失血していたが、
それでもコイツは治療を耐え抜いて、生き延びた。超人的なタフネスを持つ
種族の為せる技か……それとも」
「それとも?」
「何かを為すまでは死ねんという、何らかの執念がそうさせてるのかもしれん」
「ま、俺としちゃあ治ってくれりゃあそれでいいがね。ああ、ドク。ついでで
何だが、ウチの婆さんも診てやっちゃくれんかね? まァた腰が痛てェ痛てェ
って五月蝿くってよぉ」
「お安い御用だ」

紅衣の医師は勧められた茶を一気に飲み干すと、別の患者を診るべく地上への
梯子を上り、その途中で自分が治療にあたっている男を振り向いて、呟いた。

「奴の、執念か。興味を引く話ではある、が……まあ、深入りはすまい」



【Scene02 : 蒼炎】

イルヴァーナ渓谷、奥地。

そこにあるバルドスの群生地で、彼等相手に剣を振るう少女の姿があった。

鞭のようにしなる鼻が地に叩き付けられる寸前で左に避け、回避動作からの
反動でバルドスに向かって跳び、眉間に剣を突き立てる。少女は突き立てた
眉間を蹴って降り立ち、血を噴き出しながら突進してくるバルドスに向けて、
剣を平青眼に構えて迎え撃つ動作に入った。

「ハァッ、ハァッ、ハァ……」

血に塗れた刃を手近に横たわるバルドスの死骸で拭い、鞘に収めると、少女は
ペタリと座り込み、天を仰いだ。

「こんなんじゃ、足りないのだ……こんなんじゃっ」

天を仰ぐ少女―――ワラゲブルーは目の前に累々と横たわるバルドスの死骸を
見つめ、歯噛みしていた。あの時―――、

(チャージ開放! ヘル・パニッシュ! プラス、ヴァルキリーブレイドーッ!!)

彼女が辛酸を舐めさせられた相手。執念に燃えた紅蓮の復讐鬼、ワルゲレッド。

彼から喰らった剣戟が、夜毎脳裏から離れずにいた彼女は、少しでも対抗策を
見出す為に、或いはその悪夢を脳裏から追い払いたいが為か、足げく渓谷に
通っては、巨体が生み出す恐るべき膂力で鞭の如く振るわれる鼻と、岩をも砕く
突進力を持ったバルドスをあの時のワルゲレッドに見立て、何十合も剣を振るい、
何かを見出そうとしていたのだが……、

「くそッッ!」

結局何も見出せずにいる自分に耐えられなくなり、ガッと拳を地に叩き付けて、
悔し涙を流し始めていた。


その様子を彼方から眺める、二つの光る眼があった。
イルヴァーナ渓谷西方の古代エルアン人の城壁跡。そこにそびえ立つ双塔の望楼
から伸びる双眼鏡の目元には……、

「いやぁあ~ん、かぁわぃいい~……はあぁん♪」

一人、絶頂に達したような大声を上げて悶えるローブをまとった女の姿があった。

「姉さん、何事ッ!?」

望楼へと続く階段を、ドタドタと急いで登ってくる女の手には、無地のミトンが
嵌められ、料理の途中であったのか、汁の滴る菜箸が握り締められている。

息を切らすことなく登ってきた彼女は、据え置き式の双眼鏡を今にも涎が垂れ
落ちんばかりの締まらない笑顔で眺めている自らの姉の様子に、ため息をついた。

「また、あの娘を見てたわけぇ? 言っちゃ何だけど姉さん完ッ璧ストーカーよ、
端から見てるとさ」
「だってぇ~、あの娘見てて飽きないんだものぉ。もう可愛くって可愛くって~」
「姉さん、ヨダレ出てるわよ。もぉ、情けないなぁ……」

と言いつつ、彼女もまた望遠鏡を覗き、悔し涙を流しているのか、項垂れて肩を
震わすワラゲブルーを見やる。

(敗北をバネに出来ずに、ここで八つ当たってるようじゃ……まだまだかなぁ)

彼女は彼女なりに、ブルーの行動に対して辛い評を下していたが、一方で、
敗北を悔やんで、行動に移しているという点では、少しは骨があるかな、と
考えてもいた。例えそれが、各下への八つ当たりであっても。

というのは、「時々、彼女達の様子を見てあげて欲しいのよ」と姉に頼まれて
からこのかた、彼女達、つまりワラゲッチャーの動向を密かに監視していたの
だが……、彼女等を巡って、奇妙な動きが起こっていたのである。



【Scene03 : 濫造】

War Age―――戦乱の時代。

戦乱による混迷渦巻くこの時代に、法やモラルといった概念は存在しない。
在るのはただ一つ、弱肉強食という最も本能的で、最も理に適った思想のみ。

そんな世界に、ここ数日奇妙な噂話が流れ、戦に疲れた兵士達を癒す酒の肴と
なっていた。

『キャベツ畑に、毎夜毎夜死体が晒される』

死体が晒されること自体は、この時代においては日常茶飯事と言っても過言
ではない。だが、噂話の肝は、必ずキャベツ畑と場所が限定されており、しかも、
必ず決まって5体、ということだった。特徴的なのは、その晒されている死体の
背中であった。それは……。


その日も、キャベツ畑には5人の兵士がそれぞれに息を潜めていた。

「なぁ、ホントに来るのかぁ? その、ワラゲッチョってパスタ連中はよぉ!?」
「ああ、確かな筋からの情報だ。間違いねェよ」
「だが兄弟、偽者だって名乗るだけでやってくるなんて、そんな与太話を信じろ
って方が無理なんじゃないのか?」
「疑り深いなぁ、お前も。実際偽者を名乗ってそのワラゲッチャーっていう
エルモニー娘5人組を誘き寄せた連中がいたってんだから、間違いねぇって」
「仮に出てきたとして、強さはどうなのです。場合によってはミイラ取りが
ミイラに、ということにもなりかねませんよ?」
「かぁーっ、まったく。自分の強さに自信がねぇのかよこのスカシ野郎がっ。
いいか、たかがパンダ5人組にも組み伏せられる連中だぜ? 俺達に倒せねえ
わけがねぇだろがよ」
「ふひっひひひひ……どうでもいいさ。俺はモニッ娘とヤれりゃどうでもよぉ。
半殺しにしちまやあ、ヤりたい放題喘がせ放題だぜ、うひっ、うひひひひぃ!」
「この変態ボケがッ、静かにしてやがれっ!」

軍属も種族もバラバラな彼等に共通するのは、そこそこの手練であることと、
重度のエルモニー・コンプレックス、通称モニコン、であることであった。

「たーのしみだなぁ……うひひひひひ、まず骨をじわじわ砕いて鳴き声を堪能
して……ケツにこいつを……イヒヒヒヒヒッヒ!」
「オイ、変態。ヨダレ垂らしてテメェの変態趣味語ってんじゃねぇ! キモいぜ!」
「うひひ……ここにいる時点で君も同じ穴のムジナなんだなぁ、うひひひひぃ!」
「あんだとテメェッ、連中殺す前にテメェから半殺しにしてやろうか、あぁ!?」
「仲間割れは止せよ、兄弟。俺達はまだ敵とも遭遇してないんだ」
「そうそう、ここは紅茶でも飲みながらリラックス……ですよ、フフ。野蛮人は
そんなところまで頭は回らないでしょうけどね」
「一言多いんだよ、このスカシ野郎がぁ!」
「火に油を注ぐんじゃない、兄弟!」
「どうでもいいから静かにしねぇかッ! 潜んでるのがバレたらどうすんだ莫迦!」

キャベツ畑に静寂が戻った。が、その様子を少し離れた暗闇から覗く影があった。

「まァた現れたナリね、俺達の偽者ご一行さんが」
「これで通算14回ッスね。よくもまあまあ来るもんッスよ」
「普通は……乗らない話……だクマー」
「5号さん、まだクマー口調が消えないんスか……」
「んまぁ、それだけ変態ちゃんが多いってことよねン♪」
「本物の変態に言われちゃオシマイナリな」
「お黙りッッ!」
「そろそろ……稼ぎ時……だクマー」
「そうね。2号ちゃん、斬り込みヨロシクねン♪」
「へいッス、っと……」

本家ワルゲッチャーの4人組であった。

彼等は彼等で、最近出現した自分達の偽者狩りに動いていたのである。
2号が、強化型イーストウッド・ライフルを標準的な立射姿勢で構え、
照星をキャベツ畑に潜む連中の一人に向けて引き金を引いた。弾丸は
必殺のブレイン・ショットを決め、血を盛大に畑に撒き散らした。

「なっ、何だ!? 襲撃かっ!」
「落ち着け馬鹿! たかが変態一匹が脳味噌ぶちまけられただけだろが!」
「暗闇に乗じて来るぞ、兄弟! 守りを固めよう!」
「言われなくてもわかってますよ!」

畑に潜んでいた4人は、互いに背を預けて四方を固める体勢を取った。しかし、

「勝負は常に一手先を読むものよ、変態ちゃんたちィ……!」

予めマーキングしていたポイントに、テレポートで跳んでいた4号の放つ槍技、
ドラゴン・フォールに畳み掛けるように、ニ方向から3号と5号が放つダブル・
クエイクビートが炸裂、更に2号が遮蔽物を縫って、走っては銃撃を加えつつ
彼等に迫り、懐に飛び込んだ時点でブラッド・シェアーを連中に決め、彼等の
脚を完全に封じた。この時点で雌雄は決したようなものだった。

「まったく……」

足元にだらしなく転がる死体を蹴り、うつ伏せにさせながら3号がボヤいた。

「毎夜毎夜のこととは言え、雑魚狩りってぇのは気が乗らんナリねぇ……」
「兄様が治るまでの辛抱よン、3号ちゃん」

3号を諭しつつ、4号も傍らの死体をうつ伏せに寝かせ、死体の背中に何かを
叩き付けるようにベタリ、と貼った。

「赤フン先生のことッスから、間違いはないでしょうけど……」
「あの腹の傷では……いくら先生でも結構かかる……クマー」

2号と5号も、死体の背中に何かを貼り付け、ゆっくりと立ち上がった。

「それでは、そろそろ帰りやしょうか、皆さん」
「ナリね」
「たまにはセクシーな男でも狩りたいわねぇン……」
「そのテの趣味に……セクシーさを求めること自体……無駄だ……クマー」

ワルゲッチャーの4人は、それぞれにボヤきながら闇の中へ消えていった。

彼等は、あくまで長であるレッドにワラゲッチャーへの復讐を遂げさせる為、
彼が完治するまでの間、彼女等を無傷で泳がせてるに過ぎなかったのである。


だが、そんな事情を知る筈も無く、通報を受けてやってきたワラゲッチャーの
目の前には身包みを剥がされた形跡も無い死体が5つ、畑に転がっているだけ
であった。そして彼女等は彼女等でそのことを自分達の勝利と思い込み、否、
勘違いし、身包みを剥がして笑いながら引き上げていく。


更に、それらの事情を知り得ぬ影が一つ、彼女等の後を追うようにして走り、
彼女等と偽者とが戦ったと思しき跡を、彼女等が立ち去った後で検分していた。

(ひどいもんだねぇ……こりゃあ)

一方的な虐殺を受けたであろう死体からは、胴体以外の目ぼしいものは全て
剥ぎ取られており、背中には、金属を編みこんだ布状のものが貼られていた。

影は試しにそれを剥がしてみようと手をかけたが、下手をすれば自分の爪が
剥がれそうなほどに強力なものだったので、速攻で止めておいた。

(彼女等が……貼ったのか、これを?)

それには、それぞれこんな文句が書き連ねてあった。

「この男モニコンにつき、超危険」
「モニコ以外は女に非ず。私はモニコンです!」
「I'm Foolish Moni-Con. And very very Mad Moni-Con.」
「変態(脇に『もにこん』とルビが振ってある)」

彼等の嗜好をなじる文句が、まるで子供の喧嘩の後のように貼り付けてあった。

(敗者を弄んだ上に辱める……これが彼女等の正義ってやつなのか?)

しかし、腑に落ちない点も幾つかあった。例えば彼等の受けた傷の跡がある。
間違い無く槍で突かれた傷、ブレイン・ショットで脳漿を盛大にぶちまけた死体、
明らかに撲殺されたものであろう死骸、等々。どれも、以前の彼女等のデータ
には存在しない攻撃パターンであった。

(以前の敗北からスキルを変えたという線も捨て切れないではないけど……)

更に、背中の張り布の文字が、一つ例外を除いてはやたら男性的というか、
力強い文字なのが気にかかった。

(うーん……、わっかんない。思い当たる節も無いことは無いけどなぁ)

彼女の脳裏に、以前ワラゲッチャーを襲った偽者5人組の影がちらついたが、

(有り得ないわよねぇ……)

偽者が本物を救うという図式は、彼女の脳内には存在し得なかった。いや、
例え彼女でなくとも、極々普通の人ですら想像もし得ない話であっただろう。

(いずれにしても、もう少し様子を見た方がよさそうね)

そう呟くと、彼女もまた闇の中へと消えていった。


かくして、ミイラ取りがミイラと化したモニコン達は、復活ポイントである村
から復帰するまでの間、他者に背中の張り布を指摘されるまで、周囲の失笑と
全種族の女達から放たれる軽蔑に満ちた視線に晒されるのであった。

ここ数日、戦に疲れた兵士達が酒の肴に困らずにいられたのは、その為であった。


【第一部(後編)につづく】
by DunkelFanG_Ez00 | 2007-04-21 19:48 | 【封印】MoE書き殴りSS・3